徳島のヒマワリの写真

１　地区の概要

　吉野川市は、麻植郡の４町村（鴨島町、川島町、山川町、美郷村）の合併により平成16年10月に発足した。徳島市から西へ約20キロメートル、吉野川中流域の南岸に位置し、人口は４万６千人余り。吉野川沿いの肥沃な平野部では、促成なす、にんじん、スイートコーン等、野菜栽培が盛んだが、市南部は中山間地が多く、柑橘類、うめ、かき等の果樹栽培を中心に零細農家が数多く存在する。

２　取組の概要　〜農家自ら生産者名を表示し、生産履歴も公表〜

県内最大級の売場面積（500m2）

大型バス４台、普通車70台を駐車できる（トイレ完備）

地元産にこだわった「みそ」、「豆腐」は人気の加工食品

(1)　多種・多様な農産加工品を製造・販売

　農産市の開設と同時に農産物加工施設を整備した。ＪＡ女性部員やグループ等が「みそ」、「豆腐」、「焼き肉のタレ」のほか「パン」や「クッキー」など数十種類の食品を加工し、販売している。

(2)　農家自らが運営を行う

　運営のすべての事項は会員（農家）代表者で組織する「ＪＡ麻植郡ひまわり農産市運営委員会」（24名）で決定し、会員（168名）は運営委員会で定めた運営規定、出荷要領に従い生産、出荷を行うほか、農産物の販売も当番制で行っている。

(3)　生産に関する情報をホームページで紹介

　商品すべてに会員（生産者）名を表示し、消費者との「顔の見える関係」づくりに努めるとともに、会員毎に農産物の収穫時期や農薬防除等の生産履歴をホームページで紹介している。

(4)　開設に当たって十分な準備

　開設に当たって、２年前から先進地の視察・見学や勉強会を重ね円滑な運営を図られるよう関係者が一丸となっている。

３　成果の概要

(1)　利用者、販売額とも年々記録を更新しており、平成15年度には年間の利用者数22万人、販売金額２億３千万円となった。生産者の所得向上や地域住民への地場産品の浸透につながっている。

(2)　地場農産物を市価より安く購入できることから、地域住民が積極的に利用しており、利用者の７割は地域の固定客が占めている。

(3)　農産市が地域女性や高齢者の交流拠点としての役割を担うようになり、積極的に活動する会員が増え、高齢会員からは「病院へ行かなくなった」などの声が聞かれるようになった。

４　成功要因　〜十分な準備、月１回議論、自由度と公平〜 

(1)　農産市開設の２年前から先進地の視察研修や勉強会を重ね、運営に係る十分な下準備をした。

(2)　会員代表者で組織する運営委員会を月１回開催し、運営方法や改善点を徹底的に議論している。

(3)　「出荷する品目や価格は自分で決める」、「売り場は毎日くじ引きで決める」など、自由度や公平性を確保したことが、会員間の競争意識や連帯感の醸成につながった。